鯉のぼりの色の意味と由来(こどもの日)
4月下旬~5月にかけて見かける、色とりどりの鯉のぼり。
青い空を気持ちよさそうに泳ぐ姿は、日本の春の風物詩です。
鯉のぼりは江戸時代に始まった日本生まれの風習ですが、時代ともに飾られる鯉の数や色が変わってきたのをご存知でしょうか?
鯉のぼりの由来と色の意味について紹介します。
鯉の絵の「武者のぼり」と鯉のぼり
鯉のぼりの風習は、江戸時代の初期に武家で始まりました。
武士の家では、5月5日の端午の節句に、子ども達のたくましい成長と出生を願って、よろいかぶとや武者人形を飾ったり、庭先にのぼりを立てたりしました。
そののぼりを武者のぼり(武者絵のぼり)といいます。
武者のぼりにも絵師によって鯉の絵が描かれることはありましたが、鯉のぼりのような鯉の形をしたのぼりではなく、1枚の縦長の旗のような本来の幟(のぼり)でした。
江戸時代は武家以外の庶民はのぼりを立てることを禁じられていた地域も多く、庶民の間では江戸~明治時代にかけて、鯉の形をした今の形の鯉のぼりが普及していきました。
のぼりに鯉が描かれる理由
成長や出世を願って鯉が描かれるのは、「竜門と呼ばれる急な滝をのぼりきった鯉が龍になった」という中国の故事に基づきます。
「竜門」は黄河の急流にある滝で、「登竜門」の語源にもなっています。
鯉のぼりの数と色の意味
現在、一般的な鯉のぼりの色は「黒+赤+青」の3色ですが、鯉のぼりの数と色は時代とともに変わってきました。
江戸時代「黒い真鯉=子ども」
縦長の武者のぼりから立体的な鯉のぼりに変わり始めた、江戸時代の鯉のぼりは「黒い真鯉」だけでした。黒い真鯉は「子ども」を表し、子どもの成長と出世を願うものでした。
明治時代「黒い真鯉(父)+赤い緋鯉(子)」
明治時代になると、それに「赤い緋鯉」が加わりました。鯉のぼりの色の追加により「黒い真鯉=お父さん」、「赤い緋鯉=子ども」と色の意味も変わりました。
昭和~現在「黒い真鯉(父)+赤い緋鯉(母)+青い子鯉」
昭和時代になると、さらに「青い子鯉」が加わりました。これにより「黒い真鯉=お父さん」、「赤い緋鯉=お母さん」、「青い子鯉=子ども」という色の意味が定着し、現在まで続いています。
鯉のぼりの色とオリンピック
実は、鯉のぼりに「青い子鯉」を加えることは業者さんの間では反対意見も多かったそうです。
池の鯉を見てわかるように、本来の鯉の色は「黒、赤、黄、白」で青い鯉はいません。実際にいない青い鯉のぼりを作っても売れない…という考えられたのです。
青い鯉のぼりを思いついたきっかけは、昭和39年に開催された東京オリンピックです。
オリンピックの五色の五輪を見た「秀光人形工房」の職人さんがひらめき、鯉のぼりの多色化が始まりました。
実際に青い子鯉を作ってみたら大ヒット!こぞって作られるようになり、黒+赤+青のセットが鯉のぼりの色として定着しました。
吹流しの色と意味
鯉のぼりの一番上、黒い真鯉の上にあるカラフルなひらひらは「吹流し」と呼ばれます。
吹流しの歴史は鯉のぼりより古く、戦国時代から「魔除け」の意味でのぼりに使われていました。
吹流しの色は、中国の五行の色にならって「赤、青(緑)、黄、紫(黒)、白」の五色が使われることが多いのですが、鯉のぼりの場合は、いろいろな色や鯉を描いた吹流しがあります。
また、鯉のぼりの吹流しには「家・家族」の意味も込められています。
オレンジやピンクの鯉のぼり
平成の現代。黒、赤、青に混ざって、オレンジやピンクの鯉のぼりも見かけることがあります。
これは子鯉の青が「男の子」を連想することから、女の子をイメージしたオレンジやピンクの子鯉も作られるようになったそうです。
子どもの個性を大切にする、現代の家族の姿の表れかもしれませんね。子どもの数だけ子鯉を増やす、家族が揃った鯉のぼりも人気があります。
カラフルで可愛らしいちりめん細工の鯉のぼりです。どこにでも飾れるのでプレゼントにも喜ばれます。
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